この記事は http://fy.chalmers.se/~appro/linux/DVD+RW/ にあるdvd+rw-toolsの解説の2004年8月版を翻訳したものです。以前のバージョンである2004年7月版に対して変更や追加があった部分はこの色で区別してあります。
なおdvd+rw-tools(growisofs) バージョン5.19には深刻なバグがあることが作者から報告されています。これをお使いの方はバージョン5.20以上に更新することをお勧めします。バグの詳細は[ここ]を参照してください。

2004年10月6日 (石)


Q1 このページは何について書かれたものですか?

残念ながら DVD ビデオについて書かれたものではありません(*)。 記録型 DVD ドライブをコンピュータの補助記憶装置として利用するため、つまりバックアップ,アーカイブ,データ交換などに用いることを前提としたものです。

この目的のために、私は Linuxカーネル2.4を対象としたDVD+RWパッチdvd+rw-tools と呼ぶユーティリティ群を公開しています。

(*) dvd+rw-tools が DVD ビデオの制作に使えないというわけではありません。
DVD ビデオは、 普通のファイルシステム上のデータファイル群で構成されるため、特別に「DVD ビデオ焼きプログラム」というものを用意する必要は無いというわけです。

つまり「DVD ビデオについて書かれたものではありません」と書いたのは「DVD ビデオのコンテンツ制作というようなことには触れていない」ということです。

Q2 カーネルパッチ? 難しそうですね。単にcdrecordを使うってのはダメですか?

断っておきたいのは、 dvd+rw-tools というユーティリティは、カーネルパッチ無しでも DVD 書込みに使えるということです。カーネルパッチは必須ではありません。 後のチュートリアルを見てパッチが必要だと判断した人はパッチを当てて下さい。

DVD+RW/+R についていえば、記録方式の違いにより DVD 記録用に拡張された cdrecord でも書込みはできません。 (dvdrecord も同様です・・・ RedHat 7.3 Release Notes にはできるように書かれていましたが)

Q3 ではカーネルパッチは何のためにあるのですか?

DVD+RW は真のランダムアクセスメディアです(DVD+R は違います)。 ですから任意のファイルシステム、例えば udf, vfat, ext2 などとして使えるわけです。

つまりDVD+RW は他のランダムアクセスメディアと同様にカーネルレベルでサポートされ得るものなのです。 ただしカーネルへの実装には注意が必要です。 詳しくは後のチュートリアルを参照してください。

もう一つ注意すべきことは、すべての OEM ドライブでランダムライトアクセス可能なわけでは無いということです。 本稿執筆時点では第2世代の Ricoh 製ドライブ (世代一覧は dvdplusrw.org を参照のこと) の内、最近のファームウェアを搭載したものだけが(真のランダムアクセスに必要な) I/O フラグメンテーションをきちんと扱えるようです。詳細は後の技術解説を参照してください。

Q4 dvd+rw-toolsは何を目的としたものですか?

dvd+rw-tools は、DVD+RW/+R,DVD-R['W'] の全メディアを対象としたマスタリング用ツールです。下のチュートリアルを見る限り、そう言っても過言ではないでしょう。

カーネルにパッチを当てれば、例えば DVD+RW を ext2 ファイルシステムとして使うなんて事もできますが、ext2 は Linux 専用のファイルシステムなので、他の OS では読めません。 たぶん多くの人は、その DVD ディスクを他のコンピュータでも読めるようにしたいと思うでしょう。

それには ISO9660 フォーマットを用いるこということになります。 その場合問題となるのはデータを後から追加しようとした時です。そもそもマルチセッションの概念をもたない DVD+RW ではどうすればいいのでしょうか? 毎回再マスタリングしますか? しかしデータセットの増大化に伴って時間がどんどんかかるようになりますよね?

そうです。 growisofs が無ければそういうことになります。 growisofs は対象とする全てのメディアについて“lay down”と“ISO9660 ファイルシステムgrow”の両方の方法を提供します。(事前に作成されたイメージファイルを使うこともできます)

Q5 +と−の両方をサポートしているのになぜdvd+rw-toolsと呼ぶのですか?

当初このユーティリティは DVD+(プラス) 仕様しかサポートしていなかったからです。

一方、現在市場に出ているメジャーな DVD ライティングソフトでも「DVD+ 対応」をうたっていますが、それは単にドライブ(ハードウェア)が対応しているだけであって、ソフトが DVD+ 用の特別な機能を備えているわけではない場合がほとんどです。

多分あなたにとってプラスという言葉が意味することは、ユニークな機能、例えばシームレスなマルチセッションをサポートするなどのことであり、特定のフォーマットを指すものではないですよね :-)

Q6 cdtoolsは要らなくなるのですか?

必要です。 実は growisofs は cdtools に含まれる mkisofs をフロントエンドとして利用しているのです。 例えば ISO9660 ファイルシステムを構成するために mkisofs を呼び出します。

cdtools が必要な第2の理由は、市場に出回る記録型 DVD ドライブのほとんどが 、DVD メディアだけでなく CD-R['W'] への書込みもサポートしていることです。 それは cdrecord に任せます。

Q7 私が持っているDVDドライブでも使えますか?

そのドライブが “MMC 準拠であればおそらく動くでしょう” が答えです。今日のドライブが MMC に準拠していないことはまずあり得ないので、答えは単に“おそらく動くでしょう”になります。

[コア]ツールを使った動作確認では次のようなドライブが動作することが報告されています(もちろんこれらだけという意味ではありません)。

HP dvd['12345']x0i, Ricoh MP512x, Philips DVDRW['248']xx, SONY DRU-['157']x0, NEC ND-['12']xx0, TDK indiDVD 4x0N, Plextor PX-['57']xx, Benq DW['48']00A, OptoRite DD0['24']0x, Lite-On LDW-['48']x1S 等々。

また非+ドライブについては Pioneer DVR-x0['4567'], LG GxA-40['248']x, Toshiba SD-R['56']112, Panasonic UJ-811 and LF-D['35']1x 等々。

Q8 dvd+rw-toolsのためのGUIフロントエンドはありますか?

k3b (バージョン0.10以上) と nautilus-cd-burner (バージョン0.5.1以上) というプログラムが growisofs を素敵なボタンとメニューで隠してくれます:-)。 ただこれらは dvd+rw-tools の開発とは直接関係が無いため、私はサポートはできません。 サポートが必要な方は、それぞれのプログラムの作者にあたってみてください。

なおこれらの GUI フロントエンドを使うためには dvd+rw-tools 5.10.x が必須だったと思います。

Q9 Linux以外でも使えますか?

バージョン 5.4 から OpenBSD/NetBSD のサポートを追加しています。 またバージョン 5.6 からは Solaris 2.x のサポートも加わりました [Solaris 用配布についての商用ライセンシング条項は Inserve Technology 社によってまとめられつつあります]。

バージョン 5.8 では FreeBSD 開発チームの Matthew Dillon によって FreeBSD への移植が行われました。またバージョン 5.14 で Hewlett-Packard 社が HP-UX 11 のサポートを寄贈してくれました(*)。またバージョン 5.19 から IRIX 6.x のサポートが始まりました。

Common usage tip
(このツールが)独立して存在する限り[また特に指定の無い限り]、 dvd+rw-tools にはキャラクタ型デバイスエントリを使うこと。例えば OpenBSD/NetBSD では /dev/rcdXc を用いる。
(*) バージョン 5.14 では HP-UX サポートは“初期”とされていました。 バージョン 5.18 になってHPの品質保証試験を受け、HP software depot に登録されています。

はしがき/おことわり

当初はベンダからのサポートを全く得られなかったため、dvd+rw-tools の開発は推量から始まりました。 現在でも依然としてベンダ固有のエラーコード(技術解説を参照)で示される多くの致命的エラーが存在し、カーネル内のどの部分に起因するものかを特定することができていません。 一方ユーザ向けユーティリティについては製品環境においては既に成熟の域に達していると考えます。

2003年5月に私はユーザサポートを <cdwrite@other.debian.org> メーリングリストでやることにしました。 これはオープンなメーリングリストであり、登録をしなくても問題報告をポストすることができます。 リストのアーカイブは購読申し込みのページmail-archive.com の両方にあります。

問題を報告する場合は、必ずバージョン情報,コマンドラインの正確な内容とプログラムの出力内容を記述し、補足情報として書込み時の dvd+rw-mediainfo の出力を付けてください。 またその問題が既に議論されているものかどうかをチェックするため、必ず過去数ヶ月分のアーカイブを確認してください。

またもし私個人に連絡をくれる場合、1週間程度で返事がこなければこのページをもう一度よく読みなおしてください。 何かを見落としているはずです。 ...


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As the author of original article is unfortunately not in position to judge the accuracy of translation, Yasumitsu Ishikawa carries sole responsibility for the contents of these pages.
Andy Polyakov
文責について
原著者である私には翻訳の正確さを判断できかねるため、これらのページの内容に関する責任を翻訳者である石川泰光に委ねます。

翻訳および文責: 石川泰光 <ishikawa@ioss.jp>
原文へのリンク: DVD+RW/+R/-R['W'] for Linux