5月18日にFedoraプロジェクトからFedora Core2が正式にリリースされました。皆さんはもうインストールしてみましたか?

このリリースの目玉は何といってもカーネルバージョン2.6をベースにしているという点です。カーネルバージョン2.6では以前の安定バージョン2.4に比べてマルチプロセス性能やマルチCPU処理効率が大幅に改善されたということです。

SOHOにとってマルチCPUマシンは高嶺の花ですが、最近のPentium4で実装されているHyper Threadingは気になります。LinuxではHyper Threadingをマルチプロセッサとして扱うため、この処理効率が大幅に改善されたとされるカーネルバージョン2.6に期待が注がれるわけです。

さて「論より証拠」というわけで皆さんが興味をもたれると思われる視点で各種ベンチマークを行ってみましたので紹介します。その視点とは、

  1. Linuxカーネルバージョン2.4と2.6の処理性能の違いは?
  2. LinuxでのHyper Threadingの効果は?
  3. Intel Pentium4 CPUのNorthwoodコア製品とPrescottコア製品のLinuxにおける性能の差は?

ではまずテスト環境とテストの方法から紹介します。


1. ベンチマークテスト環境とテスト仕様

ベンチマークに用いたマシンは当社Linuxサーバ Bシリーズです。概略仕様を次の表にまとめます。

テストマシンの概略仕様
項目 仕様
CPU Pentium4 2.80C GHz (Northwood,FSB800MHz)
メモリ 1GB (512M×2 PC3200 Dual Channel)
チップセット 865PE
HDD ATA100 160GB×2,RAID1
グラフィックス ATI RADEON 9200SE

このマシンに次に示す4つのLinuxマルチブート環境を作り、それぞれの環境でベンチマークテストを行いました。

Linux環境一覧
バージョン略称 ディストリビューション カーネルバージョン
2.4 Fedora Core 1 2.4.22-1.2115.nptl i686
2.4SMP Fedora Core 1 2.4.22-1.2115.nptlsmp i686
2.6 Fedora Core 2 2.6.5-1.358 i686
2.6SMP Fedora Core 2 2.6.5-1.358smp i686

次にテストの内容です。実使用状態を代表するプログラムのコンパイル,Webアクセス,データベース処理の3種類について単独・複合の性能を上記Linux環境下でテストしました。実施したテストの内容を次の表にまとめます。

テスト項目一覧
No. テスト略称 内容
1 単純コンパイル ApacheとMySQLのソース展開・Configure直後からのコンパイル時間を計測。
コンパイルはApache→MySQLの順に行う。
2 同時コンパイル 上記2本のコンパイルを同時に行い、それぞれのコンパイル時間を計測する。
3 Apache Bench Webアクセス性能を計測するApache Bench(abコマンド)を実行し、1秒当りHTTPリクエスト処理数(RPS)を計測する。
4 SQL Bench MySQLに対し、データベース処理性能を計測するSQL Bench (run-all-testsコマンド)を実行し、全テスト終了までの所要時間を計測する。
5 Apache Bench中
単純コンパイル
Apache Benchを走らせながら単純コンパイルを行う。上記1と3の組み合わせ。
6 Apache Bench中
同時コンパイル
Apache Benchを走らせながら同時コンパイルを行う。上記2と3の組み合わせ。
7 Apache Bench中
SQL Bench
Apache Benchを走らせながらSQL Benchを実行する。上記3と4の組み合わせ。
コンパイルに用いたソース
Apace: httpd-2.0.49
MySQL: mysql-3.23.58
各ディストリビューション実行環境のApache,MySQLバージョン
Fedora Core1: Apache/2.0.47,MySQL 3.23.58,Apache Bench 2.0.40-dev,SQL Bench 2.14
Fedora Core2: Apache/2.0.49,MySQL 3.23.58,Apache Bench 2.0.40-dev,SQL Bench 2.14
Apache Bench条件
コンテンツ: HTMLテキスト,サイズ96,450バイト
接続形態: ローカルマシン (同一ホスト内)
コマンドライン: ab -c 10 -n 10000
SQL Bench条件
コマンドライン: run-all-tests --fast

なお本稿の最後にPentium4 2.80E (Prescott)についてのテスト結果も掲載します。

では結果は次のページからどうぞ。