growisofs の使い方についてのマニュアルは実はほとんど必要ないのです。
訳者注: 私が翻訳した growisofs(1m) の man page はここにあります >>
growisofs は (1)コマンドラインの引数をそのまま mkisofs に渡し、(2)その出力をメディア上にダンプします。ですから前半(1)の処理については
mkisofs の man page と関連するドキュメントを見れば良いわけです(マルチセッションに関する部分についても)。
後半(2)の意味するところは、単に、ISO イメージが標準出力に現れることはなく、テンポラリディスクスペースを気にする必要もないということです。
growisofs が mkisofs と異なる点は次の通りです。
- -o オプションは使いません。
- -C オプションは使わないこと。 growisofsがこのオプションを自動生成します。
- -Z オプションは最初のセッションの書込みで使います。 これは
'mkisofs | dd of=/dev/scd0' に相当します。
mkisofs の使用法の[マルチセッション]でのマスタリングを除いた部分は growisofs
でも同様です。 例えば最初のセッションを書き込む場合、mkisofs の場合と同様に、
- 最初のセッションでは:
growisofs -Z /dev/scd0 -R -J /some/files
- 次のセッションでは:
growisofs -M /dev/scd0 -R -J /more/files
とします。 ただし少なくとも mkisofs のバージョン1.14 (以上) が $PATH で示されるディレクトリに存在していることが前提です。
(mkisofs 1.14 は cdtools 1.10 に含まれます)
常に同じディレクトリ/ファイルを指定するような使い方、つまり growisofs をマルチセッションによる増分バックアップに利用しようとするなら、mkisofs
2.0〜2.01 (のみ) に対応した '-old-root' エクステンションが便利でしょう。 これは Patrick Ohly が発案・実装したもので、セッションを別のディレクトリとして継ぎ足していくようにするものです。各増分ディレクトリは、更新されたファイルと直前の増分ディレクトリへの参照をもつ形で作られます。
これによりリストアにおける世代選択が可能となると共に増分間の比較も容易になります。
マルチセッションよりもマルチボリュームをサポートして欲しいとの要望もありますが、growisofsはあくまでDVD書込みプログラムであり、そのような機能をサポートするつもりはありません。代わりにscdbackupやshuntなどのフロントエンドの利用をお勧めします。
growisofs のバージョン 3.3 以上では -Z オプションの特殊な使い方として、任意のイメージから
DVD を焼くことができます。その魔法のコマンドは、
growisofs -Z /dev/scd0=image.iso
です。 ここで image.iso はファイルシステム上の任意のオブジェクト、すなわちファイル,名前付きパイプ,そしてデバイスエントリなどです。
growisofs という名前らしからぬ使い方ですね。 だって何も“grow”しませんし。もっと「らしからぬ」使い方だってできますよ:-)。
例えばあるプログラムから出力されるイメージを使って DVD を焼きたいのなら、
dumpsomething | growisofs -Z /dev/scd0=/dev/fd/0
なんてこともできます。
DVD±Rに関する制約
- 「-Z オプションは1回だけ」ということは言うまでもありませんね :-)
- DVD+RW と違って DVD±R メディアにはマルチセッションという概念があります。
しかし古いドライブの中には2番目以降のセッションが読めないものがあります。
DVD-R マルチボーダー再生をサポートするドライブは稀で、DVD+R のマルチセッションに至ってはほとんどサポートされていないのが実情だからです。
つまり異なる領域に書かれた内容を読めるのは、あなたの周りでは多分それを焼いたドライブだけということです。
- ドライブがマルチセッションを検出できても、Linux カーネル['2.4']ではその情報を読み出せないことがあります:-(。
現状ではとりあえず 'rmmod sr_mod' のようにドライバを再ロードしながら使うしかありません。
- Linuxカーネル2.6において、最終セッションが2.2GBを越えて書き込まれたマルチセッションメディアのマウントに失敗する経験がある方がいるかもしれません。この問題はとりあえず、ドライブをカーネル2.4の場合と同様にide-scsi経由で使うことで回避できます。カーネル2.6ではide-scsiは廃止されたはずですが実際は問題なく動作します。(私自身まだ使っています)
- DVD±R のマルチセッションを使う場合、 mkisofs として cdrtools-2.0 以降に含まれるものを使うか、ここにあるパッチを当てるかしなければなりません。
- 2層DVD+Rメディア(DVD+R DL)の書込みには対応できていません。現状ではメディアの1/2未満の容量までしか書込みできません。現状の2層メディアの価格を考慮すれば当面の間は1層メディアを利用することをお勧めします。
訳者注: 実は2層DVD+Rメディア(DVR+R DL)のサポートは、growisofsバージョン5.20から試験的に行われています。詳細は[ここ]を参照してください。
繰返しになりますが、4.7GB の“GB”は営業用単位です。 つまりこの GB は 10003であって 10243ではありません。 本来の GB (ギガバイト) でいえば、 DVD±R['W'] の容量は 4.4GB
未満となります。
初期の growisofs では、書き込もうとするデータセットのサイズとメディアの容量をチェックしていなかったため、“overburn”とならないように気をつける必要がありました。
growisofs バージョン 5.2 からは、書込み前に“overburn”になるかどうかをチェックし、そうなる場合は書込みを開始しません。ただし
-overburn によってこのチェックを無効にすることもできます。
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